Webディレクターは必ずしも必要ではないけれどその分誰かにしわ寄せがいく。

Webディレクターの仕事は必要か?

「Webディレクターの仕事は必要か?」と問いかけられました。回答としてはyesです。

Webディレクターの仕事とは、一般的にWeb制作進行から始まり、品質管理、顧客折衝、画面設計、分析、等々多岐に渡ります。
Webの現場では様々な職種が働いています。ディレクター、プロデューサー(営業)、デザイナー、エンジニア、プランナー、プロダクトマネージャー、マーケター、コピーライター、フォトグラファー 、イラストレーター、等々。この中でディレクターは「他の職種がやらない業務を全てやる」役割を持つことが多いです。なんでも屋です。
どういうことかと言うと、ディレクター以外のスタッフは担当領域を定めやすいのです。デザイナーはデザイン領域を担当する。プランナーはプランニングを担当する。しかし仕事というのは様々な雑務、調整業務が蔓延っています。こういった仕事は宙に浮きがちです。担当者を決めればいいのですが、こういった調整業務を担当するのに適したスタッフとは誰なのか。そこら辺を全部拾いますよっというのがディレクターになりがちということです。

現場は今日も混乱している

一人ひとりがやることやっていれば現場は回るはず。顧客がデザイナーに要件を伝え、デザイナーが顧客とデザインを握り、エンジニアがデザインをもとに開発をして顧客に納品し、品質が要件を満たせばオールオッケーです。

そう上手くいく案件が1年間に何件あるのか。今日も現場は炎上していて何一つ予定通りに進んでいないのです。
世の中の状況は刻一刻と変化しているし、なんか思っていたものと違うデザインが出来上がって承認が難航しているし、開発テストをしていたらInternet Explorer固有のバグが見つかるし、新しいキャンペーンを走らせたらアクセス過多でサーバー落ちするし。

だからこそ、案件を少しでもスムーズにして、着地点を日々調整する業務が必要なのです。
予定通りに進まない時に、次の方向性をチームに提示する。それでディレクションです。
そしてディレクションには様々な調整業務が付随します。(新しい方向性でスケジュールを直したり、顧客に説明・予算交渉をしたり、品質項目を見直したり……)

ディレクター不要論

ディレクションを担うのは誰でもいいのです。デザイン領域の課題だったらデザイナーが指揮とればいいし、開発領域の課題だったらエンジニアが指揮とればいいし、各々が専門性を発揮できる領域でガンガン動けばいいのです。それで回るはずなのです。
だがしかしbut、専門領域の隙間を縫った宙ぶらりん課題がたくさん生まれてくるのです。「誰が拾う?」とお見合いになるのです。いや、お見合いならまだマシで、見て見ぬふりをすることもあるでしょう。結局誰かがやらなければならないのです。Webディレクターでなくてもいいけど、誰かがボールを拾うのです。順番は回ってきます。

ディレクターは何も作っていない

デザイナーはデザインデータ。エンジニアはコード。クリエイターは何かしらの成果物をクリエイトしている。一方で、ディレクターが作るものはすべて中間成果物である。最終的にユーザーの目に留まるものは作っていない。

それでもWebディレクターが求められる理由

みんなが上手く動けばディレクターは要らない。それでもディレクターの求人はたくさんあるし現職のディレクターは今日も走り回っている。
上手く動くことがそもそも難しいというのもありますが、もう一つの観点として各スタッフが自分の専門領域に集中できる環境を用意するというものがあります。
デザイナーにはより優れたデザインを作って欲しいし、マーケターは一つでも多くユーザーの声を聞いて欲しいし、コピーライターには一つでも多くのアイデアを捻り出して欲しい。細かい調整業務をやってもらうために彼ら彼女らに高い賃金を払うわけではないのです。
だから、ディレクションをディレクターが担うのです。

まとめ

Webディレクターは必ずしも必要ではないけれどその分誰かにしわ寄せがいく。
しわ寄せするくらいなら、Webディレクターにまとめてしまって、他のスタッフを各々の成果物にフルコミットしてもらう。
それが全体最適なのではないでしょうか。
Webの現場はチームです。チームということは各メンバーの活躍と、共鳴が成果に直結します。
それを最大化するためになんでもする。それがWebディレクターの仕事だと私は考えています。

こいけまさしma
  • こいけまさしma
  • 1996年11月生まれ。私立中高一貫男子校にてホモソーシャルな世界を経験。現在の自己形成に大きく影響している。
    本業はWebディレクター。みんなにより多くの選択肢を届けるため奔走している。